中学、高校を通じて「6年間も」英語を勉強したのに…
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学校の授業で英語を話す練習は十分にできていない
2011年度に小学校5年生、6年生になった人より上の世代では、中学校になって初めて英語学習を開始しています。(※習いごとの場合は除く)そのため高校を卒業するまでの最低6年間は学校で英語を勉強してきています。そのせいか学校で勉強したのに「英語ができない」「英語を使えない」「英語を話せない」と感じている人は多いように思います。
心配しないでください。そう感じるのは恥ずかしいことでもなんでもありません。6年間しかやってこなかったので当然です。
2020年度からは小学校3年生から英語の授業が始まるので、15年後くらいには「10年間もやっているのに話せない!」という人が出てくるかもしれません。しかし文法中心の勉強から、話すことに重点を置く授業が行われるようなので杞憂かもしれませんが。だけど言語力は話す力より読み書きの力の方が重要な気がするんですけどね…。
話を戻すと、最低でも「6年間」学校で英語を勉強したはずなのに話すことができないのは時間的な問題に加えて、授業内容、教室内の同調圧力も原因です。そもそも話すことを授業でそこまで時間を割いておらず、主に文法を理解しながら英文を読むこと、それに伴って単語を調べることが中心でした。
リスニングや多少の発音の時間もありましたが、音声と同じような発音をする方が恥ずかしいという空気はありませんでしたか?
「Hello」は日本人らしく素直にカタカナで「ハロー」と言う方がみんなにとってしっくりくるために、音声を真似て「Hello!」なんて発声しようものならクスクスっと嘲笑される雰囲気がありました。
しかし中学高校の授業だけでもそれなりに話すことができるようになっている人もいます。それは授業以外での本人の努力によるものです。
俳優の福士蒼汰さんは、英語の先生に発音を褒められたのがきっかけで英語が好きになり、通学時間は英単語を音と併せて覚えていたそうです。イタリアでの映画祭の英語スピーチはカッコよかったですよね。
6年間の授業時間だけで使えるレベルにはならない
多くの人は学校で勉強したのに英語を「話せない」と感じているでしょうが、実は「読む」力はそれなりについています。英単語を見ただけで単純な単語ならその意味を知っている人は多いでしょう。
あとは基礎文法力もあります。卒業してある程度年数が経過していたとしても、”My name is ○○”というようなことぐらいは知っているでしょう。
そう、私たちは6年間で、最低限の読む力と文法知識、あまり多くはないけど英単語は身につけているのです。しかし、学校の授業だけで満足に使えるレベルには至りません。これは他の教科においても同じことが言えるでしょう。
「英語の勉強を6年間やってきた」からといって、「使えるレベルになる」ことはありません。
たとえば「体育」はどうでしょう?体育の授業は小学校から高校までの12年間あります。高校卒業した後、みなさんの運動能力は高くなっていますか?学校の授業だけで何かのスポーツ選手になったり、モデルさんのような美しい身体になっているでしょうか?
英語と同じ言語という視点から「国語」はいかがでしょう。国語も12年間やっています。それだけではありませんね、日常生活は日本語を使っています。さすがに「日本語を話せない」ということはありませんが、完ぺきに使いこなせるには至らないのではないでしょうか。
大人であっても、何が言いたいのかわからない、つまり相手に「わかりやすく話す」ことができない人も多々います。また、主語と述語がつながっていない、敬語表現がおかしいなど「文章を正しく書けない」人もいれば、カタカナの「シ」「ツ」や「ソ」「ン」など「文字を正しく書けない」人もます。また、「相手の話を理解することができない」人もいます。
本や文章を執筆する人、テレビ局のアナウンサーなど、このような言葉を扱うプロの人であっても、とても慎重に向き合わなくては正確に使いこなすことは容易ではありません。
このように、母国語であっても「言語」を使いこなすことは相当に難しいことなのです。
こういった理由から、英語をたかだか週に何回か、数年間の学校の授業で習ったところで使いこなせるようになるわけがないのです。
英語学習はもっと気楽に構えて良いのです。
英語の授業を受けた6年間にどれくらい頑張った?
満足できるほどに何かを身につけるなら、それ相応の努力は必須です。学校で椅子に座って言われるがままのことしかしていないのであれば、「6年間もやったのに」という言い分はお門違いです。
試験のために勉強を頑張ったという経験がある人は大勢いるでしょうが、それは「使いこなせるレベル」になることへは向かっていません。「使いこなす」とはたとえば「話す」ことができる姿をイメージする人もいれば、英語で文章や論文を「書く」、英字新聞などをスラスラ「読む」ことでしょう。
そのゴールへ向かうのなら、単語を覚える、発音の練習をする、話す練習をする、英文でやり取りをする、など簡単に挙げるだけとこのような勉強をする必要があるでしょう。しかも継続しながらです。
これらをすることなく、「学校でやったのに英語ができない!」というのは当然の結果なのです。
圧倒的に勉強不足なのです。
ここで、どのくらいの時間を学校の授業で勉強してきたのか。
公立校の場合の平均値があります。
中学校では週に4コマ(50分授業)を35週で約350時間。
高校では週5コマに増えて同じく35週で約437時間。
合計で787時間です。
すごく長い時間を費やしてきたように思う方もいるでしょうが、実は使いこなすレベルになるためには全然足りません。
英語を身につけるには時間が全然足りていない
日本人が最低限の英語を身につけるためには平均2760時間が必要だろうと言われています。それに比べるとまだ半分にも満たっていません。日本語と英語は言語的な距離が遠い(言語的な差異が大きい)ため、習得にはそれ相応の時間が必要だと、研究ではわかっています。
そのため、「自分には英語のセンスがない」と英語が苦手だった人に多いネガティブな感情は、単なる「思い込み」にすぎないのです。ただ勉強時間が足りないだけなのです。
こういった理由から、どんな人でも、もっと英語に触れて勉強すれば身につけられる可能性が高い、ということです。これに関する内容はこちらの記事≪【朗報】英語が苦手だったのは、ただの「思い込み」という話≫も参考ください。
しかし中高で費やした787時間では、目安である2760時間まであと2000時間も足りません。果てしなく長い時間のように思えるかもしれませんが、留学、または日本にいながらスキマ時間を利用して長期的な計画を立てられれば意外と達成できるかもしれない時間です。
たとえばフィリピンに留学した場合、平均で1日7コマの授業に加えて、予習復習の自習時間、さらにそれ以外も時間も英語を使う機会に恵まれています。そのため、一日で約12時間ぐらいは英語に触れられるでしょう。この計算で仮に3か月間の留学をするとすれば、
12時間×5日×3か月(12週間)で720時間です。
他国の友人と過ごすか勉強時間に充てられる休日は加味していないので、これよりも英語に触れる時間は増えることでしょう。そうすると中高6年間の総英語学習時間にたった3か月で到達できてしまいます。
残りの1,200~1,300時間は、帰国して継続的に勉強をする、もしくはワーホリなどで海外で働く、いろんな国を旅して周る、などで英語に触れるにつれ学習時間を増やしていくことで到達できるでしょう。
ちなみに、元Google米国本社副社長の村上憲郎氏は、Googleへ入る以前に通勤時間などを利用して、一日3時間の英語学習を3年間継続したそうです。しかも一日も休まずに。
そうすると3時間×365日×3年で合計3,285時間にもなります。これを模倣して一日2時間でも2,000時間を超えられます。2時間ぐらいならビジネスパーソンの方であれば通勤時間やスキマ時間に小分けにしてできそうですね。
中学高校の英語の授業だけで英語ができなくなっていなくても、何も気にしなくていいんです。さらに、留学してもまだ英語が上手くならない、と感じていてもどうか落ち込まないでください。
このように時間で換算してみるとまだまだ必要な時間が足りていないということがわかります。みなさん、もっと気楽にいきましょう!