知らなかったは通用しない!海外で「いきもの」の持ち出しで逮捕されるケースも

ボホール島のターシャ

こんにちは。
フィリピン留学エージェント、セブイングリッシュのケイコです。

7/23付けで在フィリピン日本国大使館、外務省海外安全ホームページから下記の注意喚起のお知らせが届きました。

「最近,海外の空港において,絶滅危惧種に指定され持ち出しが禁じられている,または輸出許可が必要な動植物や昆虫を無断で日本に持ち帰ろうとした日本人が逮捕される事案が散見されます。「知らなかった」では済まされませんので,安易に動植物を持ち出さないようにして下さい。」-渡航先からの「いきもの(動植物や昆虫等)」の持ち出しに関する注意喚起 2019年07月23日

調べてみたところ、過去にフィリピンの珍しい生き物を不正持ち込みをしてしまい逮捕されたという報道もありました。

また、取引が規制されている動植物をフィリピンに密輸しようとして摘発されるというニュースもあります。

フィリピンのニュース画像
引用元:https://www.facebook.com/bocnaia/?ref=search&__tn__=%2Cd%2CP-R&eid=ARC1QghZoT8_7R3GdZ3egTyV6CnMEZcqyQ4fgDttx9VB07ifdLsHG-MrAZZaTJf5t4DiwvzGWUopBQvv
フィリピンのニュース画像に出てきたカメ
引用元:引用元:https://www.facebook.com/bocnaia/?ref=search&__tn__=%2Cd%2CP-R&eid=ARC1QghZoT8_7R3GdZ3egTyV6CnMEZcqyQ4fgDttx9VB07ifdLsHG-MrAZZaTJf5t4DiwvzGWUopBQvv

写真は2019年3月に、香港からフィリピンへの帰国便に搭乗していたフィリピン人乗客の手荷物から生きたカメ(インドホシガメ、アカアシガメ、ケヅメリクガメ、ミシシッピアカミミガメ)が1,500匹余り見つかり押収されたというもの。

生き物の種類によっては、没収だけでなく、服役や罰金と言った重い刑が課される可能性もある犯罪になります。

フィリピンから日本への持ち出しが禁止されている動植物等の例をまとめました。

1.輸入代行や転売等の儲け話に乗らない!

インターネットで簡単にやり取りができるようになり、海外バイヤー募集などの求人広告等を見かける機会も多くあります。

せっかく海外に渡航するなら、何らかのビジネスチャンスを、と考えている心の隙に忍び寄る「怪しい儲け話」には十分警戒する必要があります。

後述しますが、フィリピンからは全ての動物・個体の一部・派生物の持ち出しが規制されているので、そのような話を持ち掛けられても即拒否してください。

外務省海外安全ホームページに実例が記載されていましたので、抜粋してご紹介します。

1-1. 輸入代行や個人コレクションの落とし穴

「表向きはペットショップを装った希少動植物マニア専門の密売ブローカーなどから,SNSなどを通じて,世界各地に生息する希少動植物や昆虫などを持ち帰ってくれば,高価で買い取る旨を持ちかけられるケース,あるいは個人収集目的で事前に手続を調べずに安易に動植物を持ち出そうとすることにより,邦人が現地当局に逮捕される事案が報告されています。」-渡航先からの「いきもの(動植物や昆虫等)」の持ち出しに関する注意喚起 2019年07月23日

1-2. ブローカーの使う勧誘手口

「日本国内のブローカーなどは,インターネット(掲示板,SNS)を通じて,「海外からの希少動植物や昆虫の高価買い取り」「旅行代金は当社負担」といった誘い文句で,現地では動植物は持ち出し禁止であるとの情報や持ち出しにあたっての手続の必要性を説明することなく,主に若者の勧誘を行っているようです。このような言葉巧みな勧誘に安易に応じてしまった結果,犯罪に荷担することとなり,場合によっては現地で何年間も服役しなければならなくなることもあります。」-渡航先からの「いきもの(動植物や昆虫等)」の持ち出しに関する注意喚起 2019年07月23日

1-3. ブローカーの誘い文句に乗らない

「短期間で簡単に報酬を得られるような仕事は,海外においても「怪しい話」である可能性が高いことに留意し,安易にそのような依頼や勧誘に応じて,犯罪に荷担することにならないよう注意して下さい。」-渡航先からの「いきもの(動植物や昆虫等)」の持ち出しに関する注意喚起 2019年07月23日

2.フィリピンから動物の持ち出し

ボホール島ターシャ

写真はボホール島に生息している世界最小霊長類である『ターシャ』(Tarsius syrichta or Carlito syrichta)です。

ワシントン条約では絶滅のおそれの程度等に応じて附属書ⅠからⅢに分類し、それぞれの取引を規制するためのルールを定めています。

ワシントン条約が規制する動植物かどうかは経済産業省のホームページから確認できます。

ワシントン条約の附属書はラテン語の学術名で記載されているので、購入元などに確認して調べる必要があります。

ワシントン条約案内書
引用元:https://www.meti.go.jp/publication/pdf/pamph_soubenir.pdf
ワシントン条約案内書2ページ目
引用元:https://www.meti.go.jp/publication/pdf/pamph_soubenir.pdf

附属書Ⅰ掲載種は絶滅のおそれがあり原則、国際取引が禁止されています。

附属書Ⅱ・Ⅲ掲載種は取引を規制しなければ将来的に絶滅のおそれのある種で、手続きをすれば輸入可能ですが、無断での持ち出しはNGです。

生きている動物をフィリピンから日本へ運ぶというのはかなり稀なケースになると思いますが、お土産品で動物の加工品を購入する場合も注意が必要です。

3.フィリピンから植物の持ち出し

フィリピンから植物の持ち出し
引用元:https://www.maff.go.jp/pps/j/search/ikuni/ph.html

農作物へ被害を与える病害虫がつく植物や果物は日本への持ち込みが禁止されています。

輸入植物検疫の対象になっている一部の果物は検疫後に持ち込めますが、ほとんどのフルーツは日本国内へ持ち込めませんのでご注意を!

フィリピン・セブ島の南国フルーツ

<持ち込み不可の果物の例>
オレンジ等のかんきつ類

サントール
スターアップル(スイショウガキ)
スターフルーツ(ゴレンシ)
なし類
なつめ
パッションフルーツ
バナナ
パパイヤ
グアバ(ばんじろう)
バンレイシ(釈迦頭・釈迦果)
ドラゴンフルーツ(ピタヤ)
マンゴウ
マンゴスチン
もも
ランサット
ランブータン
リュウガン
ライチ(レイシ)

一覧の詳細は植物防疫所のウェブサイトから確認できます。

4.フィリピンから貝の持ち出し

セブ島のお土産屋さんの貝飾り

お土産屋さんでよく販売されている貝細工。

南国らしいお土産で人気があるお土産にも気をつけないとフィリピンの法に触れてしまう可能性がありますのでご注意を!

一般的なお土産屋さんで買える品はまず問題ないと考えて大丈夫ですが、田舎の島等に行った時に個人的に貝を買わないかと誘われることがあります。

フィリピンでは下記の貝の持ち出しが禁止されているので、注意が必要です。

フィリピンの持ち出し禁止貝
引用元:https://www.philippinebeaches.org/forbidden-sea-shells-illegal-export-collecting-law

ボラカイ島やエルニドなど、漁師さんが直接観光客に貝殻を売りに来るようなところもあります。

現地の空港でも貝の持ち出しは厳しく取り締まっているので、貝の種類の判断に自信がない場合は個人売買は避けるようにしましょう。

5.フィリピンから蝶の持ち出し

フィリピンの蝶
引用元:https://www.jiji.com/jc/d4?p=zet013-jlp08589266&d=d4_bb

フィリピン・ルソン島への採集ツアーで承認を得ずに持ち帰り、警視庁に押収された希少チョウ、ルソンカラスアゲハの標本の写真です。

ルソンカラスアゲハ(Papilio chikae)、アレクサンドラトリバネアゲハ(Ornithoptera alexandrae)、ホメルスアゲハ(Papilio homerus) 、アポロウスバシロチョウ(Parnassius apollo)など、フィリピンではワシントン条約で規制附属書Ⅰ掲載種(国際取引禁止)されている珍しい蝶がいます。

ルソンカラスアゲハ(Papilio chikae)のフィリピンからの密輸で、外為法違反で日本で逮捕された人もいます。

普段の留学生活でまずお目にかかる機会もないかと思いますが、蝶の標本を日本へ運ぶ話を持ちかけられた場合には用心してください。

まとめ

絶滅危惧種に指定され持ち出しが禁じられている,または輸出許可が必要な動植物や昆虫を無断で持ち出すことは法に触れます!

儲け話に乗ってそれとは知らずに密輸に関わってしまう事がないようにしましょう。

旅行先等で、地元の人からレアな動植物や貝、蝶等の販売を持ちかけられるような場合にも安易に請け合わないようにしましょう。

Author: 阿部 桂子

セブイングリッシュのお客様&経理担当。2006年からフィリピン在住し、フィリピン大学セブ校マスコミ科を卒業。セブ島現地のことに精通している。