フィリピン留学は、初心者でも安心のマンツーマンレッスンの充実度やその費用対効果の高さから多くの人に選ばれている留学先です。
しかし、海外での生活には思わぬトラブルが付きもの。特に初めて留学する方は「盗難や紛失、体調不良、学校内のトラブルなど、万が一にどう対応したらいいの?」と不安を感じることも多いでしょう。
そこで本記事では、フィリピン留学中に起こり得るトラブルをいくつか深掘りし、具体的な回避策や対処法を紹介します。
前回の記事「フィリピン留学の注意点まとめ」や「フィリピン留学前に知っておきたいこと」で概略を押さえた方にも、さらに安全かつ快適な留学生活を送るための実用的な情報をお伝えします。
事前にしっかりと備えることで、リスクを最小限に抑えながら、フィリピン留学を存分に満喫しましょう。
目次
フィリピンで起こり得る犯罪とは?
現在のフィリピンの語学学校では、比較的留学生向けのサポート体制が整っていますが、それでも日本とは文化や習慣が異なるため、トラブルに遭遇する可能性はゼロではありません。
大切なのは、**「起こりうるリスクを知り、事前対策を練ること」**と「トラブルに対処する方法」を知っておくことです。
ここからは、よくあるトラブルの種類とその回避・対処策を具体的に見ていきましょう。
フィリピンで発生している犯罪の概要
フィリピン留学の生徒さんが被害に遭う確率は低いですが、防犯対策を怠ると日本に比べて被害に遭いかねません。
では実際にフィリピンで起こっている犯罪を見てきましょう。
※用語の定義
「セブ島」と「セブシティ」という用語がありますが、ほぼすべての学校があるエリアは「セブシティ」です。「セブ島」は学校の無いセブシティ以外の地域全体を指しています。
主な内容 | 留意点・備考 | |
---|---|---|
犯罪発生状況 | 2024年10〜12月のセブ島全体における犯罪統計では、前期(7〜9月)と比較して「殺人」「強制性交」「強盗」の発生件数が増加 – 傷害・窃盗は若干減少 |
– 犯罪発生率は日本と比較して総じて高い傾向にあるため、常に安全対策が必要 |
銃器使用犯罪 | – マニラ首都圏(マカティ市等)で拳銃を用いた強盗事件が相次ぎ、日本人被害者も発生 – フィリピンでは一般人の銃所持が許可されうるほか、密造銃や未登録の銃器も多く流通 |
– 過去にはセブ島でも銃器を使用した犯罪事例が確認されている – 路上や人通りの少ない場所での金品管理や移動時の警戒が必要 |
観光客・日本人被害 | – セブシティで窃盗やスリの被害多発 – 日本人観光客は狙われやすい傾向 |
– 持ち物から目を離さないなど基本的な自衛策を徹底 – 観光客と見られるとターゲットになりやすい |
交通事故 | – バイク運転中の交通事故報告が多発 – フィリピンでは交通ルールや道路整備状況が日本よりも未整備で危険 |
– 慣れない道路環境に注意 – レンタルバイクなどの利用時はヘルメット着用や十分な保険加入など安全対策が必須 |
パスポート盗難・紛失 | – レストランや外出先での置き引き被害や紛失が多発 – パスポート再発行には戸籍謄本やポリスレポート等が必要で時間・費用の負担が大きい |
– 席取りのために鞄を置いて離れない – パスポートを携行する際は厳重管理(首下げケースなど) – 紛失・盗難時は再発行とフィリピン入管手続きで帰国日変更の可能性あり |
セブ島全体の犯罪統計(2024年10~12月)
犯罪 | 全体件数 | 前期(7〜9月)比 | セブシティの内訳 |
---|---|---|---|
殺人(含む未遂) | 58件 | 前期49件 → 増加 | 26件 |
傷害 | 107件 | 前期126件 → 減少 | 46件 |
強盗 | 74件 | 前期68件 → 増加 | 26件 |
窃盗 | 213件 | 前期223件 → 減少 | 137件 |
フィリピン留学の際に気を付けるべきことは、「スリ(窃盗)」の類です。殺人や障害事件に関しては普通に過ごしていれば巻き込まれるリスクは非常に低いです。
日本大使館が発表している安全対策の資料もご参考ください。
・フィリピンにおける安全対策(安全の手引き)
https://www.ph.emb-japan.go.jp/files/100336435.pdf
留学生活で起こりやすいトラブルの種類
スリ・紛失
フィリピン留学中は、タクシー以外にも現地ならではの移動手段である、トライシクル(三輪タクシー)・ジプニー(乗合タクシー)なども利用したくなると思います。
これらの利用の際に強盗やスリ等の被害に遭うケースも頻発しています。
スリの事例としては、トライシクルやジプニーは乗車している他の人とかなり密着するケースがあります。満員電車のような人口密度の中で座っていると想像してください。そうするといつの間にか財布やスマホを盗まれている、という流れです。
強盗の事例では、バッグやカバンを手に持っていたり、肩にかけているだけの状態だと、バイクで横を通り過ぎる際に奪われるリスクがあります。
- 回避策
- 寮にセキュリティボックスや鍵付きロッカーがある場合は必ず活用する
- 現金は必要最低限を持ち歩き、クレジットカードやデビットカードを活用する
- 混雑した場所や乗り物の利用時は、バッグの口やポケットを手で押える。
- リュックやバッグは常に前掛けするなどは必須
- 飲食店では荷物を膝の上に置く(椅子の背もたれは格好のターゲット)
- ATMや両替所でお金を換えた後は周囲に注意する。
- 対処法
- まずは警察へ行き被害届を作成(必要書類は現地で写真やコピーを取りつつ保管)
- クレジットカードの盗難・紛失時はカード会社へ速やかに連絡し、利用停止手続きを行う
- 学校スタッフにすぐ相談する
その他、フィリピン留学の生徒が「いかさまトランプ賭博」や性犯罪の被害に遭う事例も少なからずあります。
いかさまトランプ詐欺とは
賭けトランプで大金を奪われる詐欺です。賭けトランプは当然いかさまで必ず負けるようになっています。
詐欺師グループは、ショッピングモールで声をかけたりSNSなどを通じて接触を試みます。特にフィリピンにきている留学生は、ショッピングモールなどで現地の人に英語で話しかけられると英語を使うチャンスになるため、喜んで話をしたくなってしまいます。
そこで、家族が日本で働いているなど、親近感を覚えさせるために身の上話をされます。次のステップではお礼などという名目で家に招待されます。
家に行ってしまうと…家族がカジノトレーダーなどと言って、試しに賭けトランプに誘われます。最初は勝てるように仕向けて高額を賭けるよう信用させて、大きく負けさせる…というのが概要です。
また、インターネット上では「カジノ体験ツアー」「ポーカー初心者向け講習」などの名目で「簡単に儲かる」「儲け話がある」といった甘い誘い文句で人を集めるケースもあります。
健康トラブル(体調不良・病気・ケガ)
フィリピン留学中は、普段とはまったく違う生活環境に身を置くことになります。そのため、様々な原因で体調を崩してしまう人も少なくなりません。
- 原因例
- 水や食事に慣れない(下痢・嘔吐など)
- クーラーの冷房で身体が冷えて免疫力が下る。
- 不慣れな環境でストレスが溜まっている。
- バイクタクシーを利用して転倒等で怪我をする
- 回避策
- こまめな水分補給(ミネラルウォーター)
- 慣れないうちはローカルフードや屋台の食べ物には手を出さない
- 胃薬・解熱剤・風邪薬などを多めに持って行く
- 寒さ対策に長袖の服を常備する
- バイクタクシーではなくタクシーを利用する
- 対処法
- 海外旅行保険に加入し、キャッシュレス提携病院を調べておく
- 何かあったらすぐに学校のスタッフに相談
- 病院での診断書や領収書は保険請求に必要なので必ず保管
- 週末は気分転換に出かける
学校内でのトラブル
フィリピン留学に来るのは日本人だけではありません。韓国や台湾、中国、アラブなど異なった習慣を持った人たちとの生活になり、また、講師はフィリピン人のため(一部ネイティブ講師)、異文化を受け入れることが大切になります。
さらに、気候や衛生環境も違うため、体調管理も重要になります。
- よくあるトラブル
- 講師と合わず授業が思うように進まない
- ルームメイトとの生活リズムが違いすぎてストレスになる
- 学校スタッフが相談に応じてくれない
- 回避策
- 講師に自分の意見を言えるよう準備しておく(授業の希望についてや、授業中に私的な用事でスマホ見ないように等)
- ルームメイトについては遠慮せず学校スタッフに相談して部屋の移動を申し出る
- 対処法
- 授業や講師の変更を希望する(各校で可能です)
- エージェントや学校の上位マネージャーに相談して対応を求める
フィリピン留学の注意点についてはこちらの記事も参考ください。
トラブルを未然に防ぐための準備と心構え
万が一何かトラブルに巻き込まれてしまた時のため、信頼できる連絡先や書類の準備があると便利です。
必要書類・保険・連絡先の管理
- パスポート・保険証書のコピー
- 紛失に備えてデジタルデータと紙のコピーを用意
- クレジットカード連絡先リスト
- すぐ連絡できるよう、カード会社の緊急連絡先を把握する。
- 外務省の「たびレジ」に登録する
- 海外の安全情報を日本語で得られるサービスです。
登録はこちら→『たびレジ』の登録
- 海外の安全情報を日本語で得られるサービスです。
フィリピン特有の文化・生活習慣を理解する
日本人は世界でも特に時間間隔がきっちりしていると言われている国民です。文化の違う外国人にそれを求めるのはストレスにしかなりません。
時間感覚・コミュニケーションの違い
- フィリピンタイム
- 約束の時間に遅れるのはフィリピンでは珍しくない(授業は時間通りに始まります)
- 学校スタッフやタクシードライバーも「少し待たされる」程度は想定して動く
- ポジティブで明るい国民性
- 気さくに話しかけてくれるので、こちらもオープンマインドを意識するとスムーズなやりとりが可能
食生活・衛生面での注意点
- 屋台やローカルフードのリスク
- 路面店の屋台は、お皿などは安心できません。料理も使っている油に不安があります。
- 衛生環境の限界
- 高温多湿の気候のため、学校や飲食店でも虫の侵入を防御することには限界があります。
具体的なトラブル回避テクニック
防犯意識を持つことが大切
スリや強盗に遭わない方法はとても簡単です。
『リュックやバッグは身体の前に持ってくる』、『歩きスマホをしない』、『ポケットにスマホや財布を入れて歩かない等』、これらだけでも盗る側からはターゲットにされにくいです。
スリや強盗は単独犯ではなく2人組やグループです。防犯意識の弱そうな人(簡単に盗れそうな人)をターゲットにして近づいてきます。
また、夜間の単独行動も避けましょう。特に女性は一人で歩くのは危険です。流しのタクシーでも、「おつりが無いと言って多めに料金を取る」「メーターを操作して料金を吊り上げる」「言い値で走行する」など、厄介なドライバーも存在します。
移動には安全な配車アプリ(Grab)でタクシーを呼びましょう。また、夜遅くの外出もなるべく控えましょう。
トラブルが起きてしまったときの対処法
特にスリや強盗、紛失の際はなるべく早急に対処することが重要です。
盗難・紛失した場合のステップ
- 警察に被害届を出す:学校スタッフに相談し可能であれば同行を依頼
- カード会社への連絡:不正利用を防ぐため、利用停止処理を早めに行う
- 保険会社へ連絡:海外旅行保険に加入している場合は保険の適用範囲を確認し、補償が受けられるかどうかを相談
フィリピン留学中のトラブル回避につながる、海外旅行保険の情報についてはこちらの記事もご参考ください。
まとめ
フィリピン留学中に起こり得るトラブルと、その回避策・対処法を中心にご紹介しました。
盗難・紛失、体調不良、学校内のトラブルなどは必ず起こるとは限りませんが、事前に知っておくことで、万が一起こったとしても被害を最小限に抑えられます。フィリピンならではの文化や習慣を理解しておくことも、トラブル回避に大きく役立つでしょう。
「自分の場合はどうすればいいの?」といった具体的なご質問や、学校選び・費用相談などがありましたら、いつでもお問い合わせください。
フィリピン留学の費用や持ち物など全般についてはこちらの記事もご参考ください。
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